咳喘息(せきぜんそく)の鍼灸治療


咳喘息

 

咳喘息 長引く咳は咳喘息(せきぜんそく)かも


 長引く咳が続いてなかなか治まらないケースは意外に多いようです。風邪をひいて一通り治ったはずなのに咳だけがしつこく残ってしまう。そんな時は「咳喘息」を疑ってみてもよいかもしれません。

 

 咳喘息は、気道の粘膜に炎症が起きている状態です。気道の粘膜が過敏状態になっているので、ホコリ、寒暖差、PM2.5、花粉などのちょっとした刺激に敏感に反応してしまいます。結果として咳が誘発され、なかなか止まらなくなります。

 

 咳喘息は気管支喘息の前段階とも言われます。咳喘息を放置して治療しないと本格的に気管支喘息を患うことになります。咳喘息はできるだけ早く気づき、診断を受け、投薬治療をはじめることが重要になります。悪化して本格的な喘息に移行するのを予防するためにも早めの吸入ステロイド薬の使用が推奨されています。



咳喘息の簡易診断基準は以下の2点になります。

1. 喘鳴(ゼーゼー/ヒューヒュー)や呼吸困難を伴わない咳嗽が8週間(3週間)以上持続。聴診上もwheeze(息切れ)やrhonchi(ロンカイ/低調性連続性副雑音)を認めない。
2. 気管支拡張薬が有効。

 気道の過敏な状態が続いていることは確実にあるので気道をできるだけ刺激しないようにすることが大切です。咳喘息には吸入ステロイド薬や気管支拡張薬がよく効くので早い段階で治療を開始することが重要になります。


咳喘息 咳喘息に似ている「アトピー性咳嗽(がいそう)」にも要注意!

 

 咳喘息とは違って「アトピー性咳嗽」には気管支拡張薬が効かないのが特徴です。できるだけ早い時期に吸入ステロイド薬を活用することが大切です。

 


咳喘息 軽度の咳喘息で煙に過敏でなければ鍼灸治療を!過敏な場合は針治療を!

 

 咳喘息の治療は、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬が最優先されるべきだと思いますが、それに加えて、治りを早めるためにも鍼灸治療も活用していただければと思います。
 咳が続くと体がとても消耗します。南天のど飴HP【せきの不思議Q&A】によると「せきによって吐き出される空気(呼気)のスピードは新幹線並みといわれています。時速300km、風速になおすと80mにもなります。……肺を強く圧迫するために激しく筋肉が収縮します。その時のチカラは、お年寄りだけでなく若い人でもせきでろっ骨を折ってしまったという報告があるほどです。」とあります。
 呼吸をする時に使う筋肉を呼吸筋と呼びますが、咳が長引くと首・肩・背中まわりの筋肉(呼吸筋)がガチガチに硬くなってしまいます。そのままガチガチの状態を放置すると呼吸も浅くなり、新鮮な空気をうまく肺に取り込みにくくなり、回復も遅れがちになります。この呼吸筋の緊張をゆるめてあげるだけで呼吸がラクになります。呼吸が苦しいというのはなかなか大きな精神的ストレスになるものです。鍼灸治療で呼吸筋をゆるめて咳喘息の回復を早める一助となれば幸いです。

 


咳喘息 咳喘息の鍼灸治療における注意点

 

 軽度の咳喘息では、うつ伏せの状態でお灸できるケースもありますが、個人差があります。治療後に素早く換気してお灸の香りを逃がします。気道の炎症がひどくて煙に過敏な状態になっている場合は、お灸の煙もダメになっている可能性が高いのでお灸は使えず、針治療だけになってしまうことがあります。